【あせとせっけん】コミカルさとシリアスさの調合割合が絶妙な傑作!【ネタバレなし】

マンガ
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●作品概要
マンガ『あせとせっけん』
著者:山田 金鉄(やまだ・きんてつ)
全11巻(完結済み)


●ストーリー
主人公の八重島 麻子(やえしま あさこ)は、
化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」の経理部に勤めている。
重度の汗っかきであることにコンプレックスを抱いていた彼女は、
制汗や消臭に気を使う日々を送っていた。

そんなある日、商品開発部に所属している
名取香太郎(なとり こうたろう)と知り合うが、
彼から​「君のにおいを嗅ぐとインスピレーションが湧く」​と言われ、
新作のアイデアのために毎日においを嗅ぎに来ることに。

自分の大好きなせっけんを作っている張本人ということもあり、
麻子は複雑な想いを抱きつつも
香太郎に協力することになるのだった。


●作品の見どころ
導入部分だけ見れば相手役となる名取さんが
フェチ要素が強く若干ヘンタイっぽく見えますが、
内容としては笑いあり涙あり、
表情豊かなキャラクターが織り成す
イチャイチャ要素満載の純愛物語。

ストーリー開始時点で、女性の八重島さんが26歳、
男性の名取さんが29歳ということもあり、
いわゆる大人の関係になるのも比較的早めです。

想い人と結ばれて
そこで山場を迎えてしまうという作品とは異なり、
本作は大人の男女がつき合ったあとの展開や問題
たとえば職場やそれぞれの家族への紹介、
同棲への向き合い方などをていねいに描いている点が特徴的。

字面で見るとストーリー的に盛り上がるのか?
という印象を与えそうですが、
各エピソード内で問題の発生から解決まで、
きちんと描いているのでストーリー的な起伏も感じられます。

また、随所にイチャラブや笑いを入れているため
全体的に見ればコミカルで読みやすい作品です。
第1巻の序盤で恋人同士になっているにも関わらず、
その後の展開を中だるみさせずに見せてくれるのは、
本作ならではの魅力と言えるでしょう。

この作品が「八重島 麻子」という
ひとりの女性の成長物語として
描いている点にも触れておきたいと思います。

八重島さんは自分の体質のせいで、
自己主張の苦手な控えめな性格をしています。
そのため序盤のうちは、
商品開発部のエースとも呼ばれる名取さんに対して、
自分では釣り合いが取れないのではと
思い悩むシーンが見受けられます。

しかし、物語が進むにつれて
自分にとって名取さんがどういう存在であるのかを真剣に考え、
彼女のなりの答えを導き出します。

今のままではいけないと感じて、
少しずつではあるものの成長し、
変わろうとするその懸命な姿に胸を打たれます。

自分のコンプレックスと向き合い、
必死で頑張っている様子は
思わず応援したくなるほどなので、
八重島さんの成長にも注目してほしいです。


●感想
ボクが女性の主人公に感情移入した珍しい作品です。
もちろん自分は男性なので、彼女に対して
100パーセントの理解や共感ができたわけではありませんが、
八重島さんの心理描写がていねいなので、
どんな風に彼女が悩み、行動しているかがとてもわかりやすかったです。

八重島さんに対して心配になったりもしましたが、
恋人の名取さんも文句ナシにイイ男なので、
「おまえになら彼女を任せられるぞ!」と、
一方的に謎の信頼感を彼に抱いていました。

同じ企業に勤める男女という、
設定だけ見れば「社内恋愛モノ」としてよく見るタイプですが、
本作の場合は舞台となっている「リリアドロップ」という会社が、
ストーリーになじんでいる点が非常によかったと思います。

八重島さんのコンプレックス、名取さんの作るせっけん、
そのせっけんが作られるリリアドロップ、
それぞれが「香り」というキーワードで結ばれています。

主人公の抱えている問題と恋人の仕事内容が密接に関わっているので、
ストーリー展開が自然に感じました。

主人公たちが勤めている会社の存在が、
登場人物に「会社員」という属性をつけるための
「舞台装置」としての役割だけでなく、
物語の場として機能しているので、
社会人経験があるボクとしても入り込みやすかったのかもしれません。

あとは登場人物の服装のバリエーションの豊富さも印象的でした。
主要人物はもちろんのことサブキャラクターも
年齢や性格に合わせたファッションに身を包み
キャラクターの個性を際立たせるに一役買っています。

八重島さんと名取さんに至っては仕事着や私服の違いだけでなく、
春夏秋冬のデート服なども多くの種類を見ることができ、
一瞬しか映らない洋服をきちんと描いたりもしていて、
細部におよぶ作者のこだわりを感じました。

マンガのキャラクターと比較しても仕方ありませんが、
自分と違って、ふたりともきちんとした服をいっぱい持ってて、
偉いな~と尊敬してしまったほどです。


●おすすめポイント
個人的にコミカルさとシリアスさの割合が
見事に調和された作品だと思いますので、
物語としてキレイにまとまったラブコメが読みたい方にオススメ

登場キャラクターが理性的かつ大人であることが多く、
ごく一部を除き不快な人物が登場しないので、
幅広い層に受け入れやすい1本だと言えるでしょう。

主人公の設定を見ると、
同世代の女性がもっとも感情移入しやすいかもしれませんが、
ボクのような中年おじさんでも楽しめましたので、
男性諸君にも読んでほしい作品です。

八重島さんと名取さんという主役どころのふたりが
常にお互いに誠実であろうとしているため
大人の恋愛を描いていながら、
さわやかな雰囲気で読める点も魅力です。

そういった意味では社会人恋愛モノの
入門書としてオススメです。
あと、メガネを掛けたキャラクターに
ここまでスポットを当てた作品も珍しいので、
いわゆるメガネっ娘がお好きな方も要チェックです。

公式サイトや各種マンガサイトなどで
序盤の部分は無料で読めますので、
未読の方はぜびともお試しください。

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