【マンガ】『百瀬アキラの初恋破綻中。』(晴川 シンタ)1巻レビュー

マンガ

©晴川シンタ/小学館
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。


クール系コミュ障ヒロインの百面相を堪能できる!?

「久我山 はじめ(くがやま はじめ)」は高校の入学式で、小学校の時に引っ越した同級生との再会を果たす!

彼女の名前「百瀬 アキラ(ももせ あきら)」。「はじめ」が内心で天使と呼んで、片想いしていた美少女だ。

小学校時代の「アキラ」はいくら話し掛けても無反応で、自分だけが一方的にしゃべるという間柄だったので、高嶺の花と割り切って密かに想い続けることを決意する「はじめ」。

ところが以前は会話すらできなかった「アキラ」が、なぜか「はじめ」に急接近!? なんと彼女は「はじめ」に好意を抱いており、彼を振り向かせるための周到な計画まで立てていたのだ!

ただ、残念なことに「アキラ」は絶望的に不器用な上にコミュ障。そして「はじめ」のほうも絶望的に鈍感ということで、彼女のアプローチはことごとく空回ってしまうのだった。

お互い想い合っているにもかかわらず、すれ違ってしまう2人の恋の行く末は?


本作は主役2人の掛け合いを描いたラブコメ作品。メインヒロインの「アキラ」が魅力的で、一見すると無表情でクールな美少女だが「はじめ」が絡むと一喜一憂するという、表情の変化が見どころになっている。

特に「はじめ」に直接触れてしまった時などは、瞳をキラキラさせながらテレてしまうという、天使といっても過言ではない顔を見せてくれるため、そのあたりにも注目してほしい。

ちなみに昔の「アキラ」が無反応だった理由は、単に彼女が緊張しすぎて「はじめ」にどう対応していいかわからなかったから。そんな状況を避けるためか高校では彼とやりたいことを台本に起こして持ち歩くという、斜め上の行動力を発揮するところも笑えるポイントだ。

一方「はじめ」のキャラクターについては天真爛漫な少年といった感じ。


「アキラ」のアプローチが独特な上にコミュ障なせいで、当の本人はナニをされているのかわからず戸惑うことも多いが、彼女に歩み寄ろうとする姿勢が見えるため好感が持てる。

山育ちのせいかやたらと身体能力は高いが、成績については全教科赤点という有様で学年首席の「アキラ」とは対照的。とはいえ、彼女は彼女でかなりのポンコツなので、格差のあるカップルというわけでもない。

また「アキラ」の「はじめ」に対する想いは女友達にはバレているらしく、仲間内では温かく見守られながら応援されているという関係性。1巻の時点では彼女の一途さに焦点を当てた展開がメインで、恋のさや当てを演じるようなライバルの存在もない。主役2人が関係を深めていく様子を安心して楽しむタイプの作品になっている。

個人的に気に入ったのは物語の舞台となっている「蒼海町(おうみちょう)」。人口5千人あまりの田舎町のせいか、緑生い茂る山々や波打つ海岸が描かれる。エピソードの大半は学内だが自然あふれる背景が描かれることもあるため、適度な田舎感を感じられる点がよかった。


コメント

タイトルとURLをコピーしました