【マンガ】『翠花は少子化担当』(石川秀幸)1巻レビュー

マンガ

©2024 Hideyuki Ishikawa
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。


巨乳の清純女学生が妻として配給される!?

「20XX年」の日本が舞台。

これまでにさまざまな対少子化政策が実施されたが、
どれも有効な成果を得ることはできなかった。

結果、子作りは国民の義務となり、
少子化担当となった女子学生たちが、
独身男性の元へ派遣される妻の「配給制」が開始される

主人公は「楪 秀樹(ゆずりは ひでき)」34歳。
大学卒業後に勤めた会社にわずか1年でリストラされてしまい、
その後、小説家を志すも出版までこぎつけられずに、
世の中に絶望して12年もの間引きこもっていたような男だ。

そんな彼の元へ妻としてやって来たのが、
ヒロインの「翠花(すいか)」16歳。
清純な少女でありながら見事な巨乳の持ち主

女性と交際したこともない秀樹が、
彼女から子作りを懇願されるという物語だ。


美少女との同居生活を描いているので、
ラッキースケベは満載!
お色気要素をガッツリと楽しめるが、
特に巨乳フェチの方に刺さるハズ。

男にとってのご都合主義を
盛り込んでいるのは間違いないが、
本作の魅力はソコだけではない!

少子化に追い詰められる日本の様子を
生々しく描いている点がポイント。

そのため作品の随所にかすかではあるものの、
不穏な雰囲気が漂っているのだ。

基本はラブコメテイストだが、
一風変わった世界観も見どころの1つになっている。


例えば少子化担当の少女について。

女子学生たちは14歳になると、
国から「臨時召集令状」が届けられ、
専門学校での2年間の教育の後に、
妻として各地へ派遣される。

しかし、そこで施される教育は非常に偏ったもので、
ネットが検閲された状態で恋愛も知らずに、
子作りをすることのみが最重要と教え込まれる。

それでいて男性は無垢な女性を好むという教えなので、
子作りの具体的な方法を教わることはなく、
派遣先の男に染まるように指導を受けるのだ。

作中、男性の元へ嫁ぐことを、
「戦地へ出撃する」と形容されるが、
本人の意思とは関係なく国のために任務を全うする姿は、
さながら戦時中の男子をほうふつとさせる。


そして、なぜそうまでして
政府が子供を増やそうとするのか?
その理由もきちんと説明される。

実は行き過ぎた少子高齢化により、
日本の国力は著しく低下してしまい、
小麦を始め良質な肉や野菜は
周辺諸国に買われ入手することができない。

そのため国民は、
女学生たちが育てた「キャベツ」を、
主食にしているという。

さらに税収不足により、
日本各地のインフラは壊滅状態

下水道や地下道が老朽化しても、
それを直すための人材や予算が確保できずに、
「道路の陥没」などは当たり前。

空き家が増えたことで
街中に「野生動物」が跋扈する、
滅びへ向かう国として描かれるのだ。

このあたりをコメディとして処理しなかったところに、
個人的には作者の意気込みを感じた次第である。


最後にキャラクターについて。

今のところ「楪 秀樹(ゆずりは ひでき)」に、
好きになれる要素が無いのが少々ツライところ。

彼の引きこもりに関しては、
トラウマがあるため共感や理解はできる

ただ、いくらなんでも思考がネガティブすぎるし、
ことあるごとに自死しようとする「太宰治」っぽさが苦手

秀樹のようなダメ男を「翠花」が温かく包み込んで、
彼が変わっていくという流れだと思うが、
同性読者としては、もう少しイイところが見たい気がする

なお、私の見落としでなければ、
1巻の時点では翠花の名字は明かされていなかった

コレは彼女が嫁として配給されるため、
名前のみの存在になったという意味だろうか?


2人の関係の発展も見どころだが、
彼らが生きる国の事情が
今後どう描写されるかが気になるところ。

価格が高騰してしまった「キャベツ」や、
インフラ崩壊による「道路の陥没」
「野生動物」の危険性などは、
現在の日本でも発生している問題。

そのため設定自体はあり得ないと思いつつも、
妙なリアリティを感じてしまうのも事実。

セクシーな要素があるため、
苦手意識を持ってしまう方もいるかもしれないが、
「マンガUP!」で読める無料部分だけでも、
本作の雰囲気を感じてもらえると思うので、
興味が引かれた方はご覧いただきたい!


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