
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
ざっくり感想
前巻のレビュー記事も公開しているので、
興味がおありの方は、まずはそちらをご覧いただきたい。
なぜ、早川夏帆(はやかわ かほ)が、
三浦拓海(みうら たくみ)に対して、
交際を申し込んだのか? そのワケが明かされる。
文化祭で自分の作品を、
拓海がほめてくれたというのが主な理由らしい。
自分の作品を評価してくれた人間というのは、
自分自身を認めてくれたような気になる。
少なくとも価値観は近いと感じるだろう。
試しに交際するぶんには、ちょうどいい相手かもしれない。
夏帆が書道部であるというのも説得力が増している。
彼女自身が言っているように、
ほかの文化系部活よりもかなり地味。
普通の人が見向きもしないような展示で、
きちんと感想を言ってくれるだけでも、かなり嬉しいとは思う。
形だけとはいえ彼氏彼女の関係になった以上は、
ベストを尽くそうとする2人が見どころ。
恋愛感情を抱いているかは別にして、
「彼氏」「彼女」だったらこう振る舞うべきだろうと、
役割を口実に行動するというのは非常に面白い。
お互い好意を抱いていなくても、
恋人同士になってもいいという価値観は、
独自性があって個人的に本作で最も好きな部分。
つき合ってみないと相手がどういう人物が
わからないというのは確かにあると思うので、
ある意味理にかなってる気はする。
現実でも機会に恵まれた人は試してみてほしい。
……イヤ、さすがに無理か?
主役2人以外のキャラクターも少しずつ深掘りされてきたので、
今後は友人たちのエピソードも見られそうな予感。
今回、初めてのデートシーンが描かれたわけだが、
三浦拓海が高校2年の男子としては、
さすがにデキすぎな気はした。
高身長な上に明るい性格をしており品もよい。
おまけにここまで気が回るのであれば、
逆に今まで彼女がいなかったのが不自然なレベル。
リアルに彼のような男子がいないわけではないが、
上位数パーセントぐらいの割合だと思う。
つまり一般的な男子からすると、
かなりハイレベルなことをやってのけているため、
タイトルにあるような「平凡な三浦くん」ではないことは、
念のため申し上げておこう。
もちろんフィクションに対して無粋なことを言うつもりはないし、
お互いが好きになる前から恋人同士のメリットを
つまみ食いしてしまおうという部分がウリでもあるので、
このぐらいデキた男でないと成立しないというのは理解はできる。
とはいえ「平凡」という言葉にどのような意味を見出すかは、
人によるので何とも言えないところだが、
彼が平凡の基準にされてしまうとキビしい男子もいそうなので、
念のため言及させていただいた。
そんなわけで現時点の内容については、理想的な彼氏を持った、
早川夏帆のハッピーな日常を描いているという印象が強い。
夏帆と拓海、2人のやり取りは初々しくもさわやかで、
非常に読みやすいのは間違いないが、
私個人としては「少女マンガ的」に楽しんでいる感じだ。
ただ、私の高校生男子に対する基準があまりにも古く、
現代は三浦拓海ような少年であふれている可能性もある。
もしそうだとしたら、そんな時代に高校生でなくて
良かったと心底思ってしまう……。
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