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※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
『第2話 誰にもバレなきゃ潜入成功』感想
前回、私に合わないかもしれないと書いた作品ではあるが、
中国で評価されたという点はかなり気になっている。
今後、作品の分析に役立つ可能性があると考えたので、
可能な限り感想を蓄積しておくことにした。
一部ネガティブな印象を与えてしまうかもしれないが、
これはあくまで私個人として意見なので、
独断と偏見によるものだと、ご理解していただきたい。
第1話の振り返り
まず話を整理してみる。
自宅のベランダから落下したことが
きっかけで異世界に転生してしまった
主人公のリュウ・イノー。
実はゲーム世界の神であるユガーにより、
召喚されてしまったとのこと。
まもなくよみがえる闇の力から、
世界を救うため救世主テン・エンヤァの
力が必要だというのだ。
結果的に人違いで連れてこられてしまったが、
代わりに世界を救うことを決意するイノー。
その後、なりゆきで追われている少女を助け出すが、
彼女こそが救世主のテン・エンヤァだった。
ここまでが第1話のおおまかな内容。
第2話のあらすじ
第2話ではエンヤァの城で2人の交流を描いたあとで、
神様であるユガーの元へエンヤァを連れていくことになる。
なぜ、前回人違いが起こったかと言えば、
2人の誕生日が同日だったせいで巻き込まれたというオチ。
ユガーから現実世界のイノーの状態も知らされるが、
結論から言えばイノーは生きているらしい。
第1話の冒頭で落下した直後に木の枝に引っ掛かり
気絶してしまっているようだ。
しかも今いる世界とは時間の流れが異なるので、
世界を救ったあとに現実世界に戻ることができるとのこと。
おまけにイノーとエンヤァが
現実世界で接点があっという事実まで明かされる。
実はテン・エンヤァの本名はテン・アルヤァと言い、
現実では大企業テングループのお嬢様。
イノーは大学卒業後に2ヶ月ほど、
彼女の家庭教師をしていた記憶を思い出す。
情報収集のために街に繰り出すも、
第1話で警備隊と揉めたことで、
2人の手配書が回ってしまっている状況。
追っ手を始末するも警告に引っ掛かってしまい、
ガーディアンによって牢獄に捕らわれる、
という展開で今回は終了する。
個人的によかった点
第1話~第2話に関して良かった点を言うと、
まず城や街並み、自然などの背景に関しては、
いかにもゲームといった感じだが、
結構キレイに作り込まれていて、よかったと思う。
キャラクターの造形も等身が低いキャラながら、
脚が長くスタイルがよく見えるデザインのため、
個人的には結構好み。
演じている声優の方々も割と好きな声質の方が多い。
そんな登場人物が繰り広げる、
バトルなどのアクションシーンに関しても、
スローモーションを取り入れつつ、
スピード感も表現していて結構楽しめた。
あと、効果的に活かされているかは別として、
イノーとエンヤァが現実世界で顔見知りだった、
という設定自体は面白かった。
主人公に感情移入できなかった……
改めて視聴をした上で要素を分解してみると、
全体的に合わないというよりは、
ある程度、登場人物に感情移入できないと、
私はハマれないのだということが理解できた。
まず、主人公・イノーの人物像がイマイチつかみきれない、
というのが理由としては大きいのだと思う。
性別が自分と異なるという点を差し引いても、
彼女の言動に疑問を持つ箇所がかなり多かった。
イノーは現実ではブラック企業に勤めており、
そこでは黙ってコキ使われているが、
異世界の神であるユガー相手には、
肉弾戦を挑みケンカには負けたことがない、
と言い放つシーンがある。
気を使う相手ではないと言ってイノーは殴り掛かっていたが、
普通、神を名乗る相手には気を使うものではないだろうか?
最初はゲームの世界に転生したことで、
素の性格が出たのかもと思ったが、
昔、現実世界でエンヤァの家庭教師をしていた際は、
彼女にトラウマを植え付けるほど厳しく接していたらしい。
相手は大企業の令嬢。やはり普通は気を使わないか?
かと思えば意外と料理がうまく、
エンヤァの面倒を見ている様子も描かれる。
しかし現実のイノーの部屋はあまり片付いておらず、
重度のゲーマーだったこともあり、
どちらかと言えばだらしない性格に見えた。
ギャップを見せているのかもしれないが、
それぞれの描写が関連づいておらず、
1人の人間として性格に一貫性がないように感じてしまった。
イノーという人間を表すと、
「ケンカが強く神様やご令嬢にも物怖じしないほど強気だが、
給料の一切上がらないブラック企業に勤め続け、
上司の言うことにはおとなしく従う優秀な人物」ということなる。
なんとなくチグハグではないだろうか?
ようするに面白いシーンを描くという目的のために、
その場その場でキャラクターの性格を
変えているような印象を受けてしまったのだ。
ジャンル的にはコメディでもあるし、
この点だけではそれほど違和感は感じなかったかもしれない。
だが、ストーリーの展開に関しても似たような感想を持ったせいで、
なおさら気になってしまった可能性がある。
物語の展開も行き当たりばったり?
前回の感想でも書いたが、本作にはゲームやアニメ、マンガの
パロディと思われるネタが多数登場し、セリフや演出に使われている。
中国の作品であるため、
細かなニュアンスや元ネタに関しては異なる可能性がある。
だが、パロディを見せたいあまり、
目的と手段が逆転してているのでは?
というのが個人的な感想。
つまり、こういうストーリーを見せたいので、
合い間にこういうパロディを入れてみようではなく、
こういうパロディを見せたいので、
ストーリーをこう作ろうとしたイメージ。
もちろんそれが悪いわけではないのだが、
私個人としては笑えたシーンがなかったので、
効果的に機能していたかが疑問ではある。
パロディネタだけでなく、
ストーリー展開もやや強引な印象を受けてしまう。
実はイノーとエンヤァが家庭教師と教え子の
関係だったと明かされても唐突感が否めない。
現状は視聴者が食いつきやすい
ネタや設定を散りばめるだけ散りばめて、
つながりを意識していないため、
ぶつ切りで見せられている印象だろうか?
結局これからも見るの?
視聴は続ける予定。
いつまで放映するのかわからないが、
少なくとも1クール(12話)ぐらいは見続けて、
最終的に判断してみるつもり。
色々と書きはしたが期待している部分はあるし、
以前ネガティブな印象を持っていた作品の評価が、
あと覆ったという経験をしなかったわけではない。
もし、この記事を見ている方の中で、
「この作品はここが面白い!」という点があれば、
是非とも教えていただきたいと思う。
あと、私は中国語が全くわからないので調べようもないが、
この作品が中国でどういう位置づけだったのか、
それも詳しく知りたいと思う。
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