
©実樹ぶきみ(秋田書店)/SHY製作委員会
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
『第10話 寂しい氷と小さな火』感想
今回はツィベタというか、
ペペシャの母であるレターナの回想が
半分ぐらいを占めていた。
おそらくレターナは孤児院出身ということもあり、
収入の良い仕事に就くことができずに苦労していたのだろう。
それでも一人娘のペペシャが心の支えとなっていたので、
なんとか生きることができていたという状態だった。
しかし、娘に苦労をかける日々を送るにつれ、
自分が母親としてふさわしくないのではと考え始める。
ペペシャが一人になれば孤児院に入ることができるため、
自分がいなくなったほうが娘にとっての幸せにつながるのでは?
と思い至り、最後においしいケーキを食べさせようとする。
店員の善意によりケーキを手に入れることができたが、
そのせいでレターナを金持ちだと勘違いした
ホームレスの男性から襲われてしまい、
彼女は命を落としてしまうのだった。
娘と理解し合えないまま死に分かれてしまった、
悲劇の母親といった感じで精神的にかなりキツイ内容。
レターナは悪意に満ちたこの世界を壊すために、
ツィベタになったというわけなのだろう。
つまり、彼女からしてみれば娘のためというわけだ。
ところでペペシャの父親の存在が
一切描かれなかったのが気にはなる。
世間知らずのレターナが悪い男性にだまされてしまったとか、
一時的に身体を売るような仕事に就いていたなど色々と予想はできるが、
生々しくなってしまうので、あえて描写しなかったのかもしれない。
原作未読なので、最初から描かれていなかったのか、
アニメ化の際に削除したのかは不明な部分。
なお、ツィベタが自分の心の世界を周囲に広げていたので、
シャイやスピリッツなども、これらの記憶を体験していた様子。
ツィベタは母親失格だった自分のことを
娘が憎んでいると思い込んでおり、
それを知ったスピリッツは自分の想いが母に届いていないことに、
ショックを受けて転心が解けてしまう。
その後はシャイが主人公らしい活躍を見せて、
スピリッツが立ち直り、再び転心するという展開になる。
シャイの成長を見れたのは非常によかったが、
このツィベタ関連のエピソードが、
さすがに長すぎると感じたところもある。
ツィベタの初登場は第6話。
本作が全何話の作品かわからないが、
1クールであれば半分近く割いていることになる。
序盤は一話完結型のエピソードが多く、
物語がテンポよく進んでいた分、
なおさら長く感じてしまったのかもしれない。
作り自体はていねいなので、
個人的に気に入っている作品ではあるが、
1つ1つのエピソードが長くなるのであれば、
まとめて視聴したほうがテンションは維持しやすいと思う。
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