
©若木民喜/みつみ美里・甘露樹(アクアプラス)/16bitセンセーションAL PROJECT
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
『Layer 10 精一杯やってみる!』感想
六田守の運転する車の中で目覚める秋里コノハ。
前回おじさんになっていた守を見たことで、
ショックで気絶してしまったようだ。
2023年の現状について守から説明を受ける。
数年前から秋葉原は高級住宅街になっており、
再開発により高層マンションと
オフィスビルが立ち並ぶ街へと変貌していた。
おまけに電気街は消えてしまい電波塔ができて、
スタジアムも建設中とのこと。
大半のオタク向けショップは、今は池袋にあるらしく、
完全にコノハの知っている秋葉原ではなくなっていた。
守の自宅に招かれ、より詳しい話を聞くことになる。
アルコールソフトは今はアメリカに拠点を移しており、
あの頃のメンバーで日本に残っているのは守だけらしい。
1999年に発売された『ラスト・ワルツ』は売れに売れて、
コンシューマ化、テレビアニメやドラマ化もされた上に、
アメリカの企業の目に留まり、ゲームをアメリカに作ることになったとのこと。
なお、アルコールソフトだけでなく、
エルフ、アクアプラス、TYPE-MOON、ニトロプラスなど
大手も資金が潤沢という理由で移転しているらしく、
千代田区連合ならぬロサンジェルス連合と呼ばれているそうだ。
この時代ではすべての美少女が
アメリカの西海岸から発信されているということで、
西洋風というかいわゆる「バタ臭い」デザインが
主流になってしまったのだろう。
そんなわけで、オリジナルキャストによる
こんなセイバーはイヤだ!が登場したわけだ。
まあ、下田かおりと声優が一緒なので、
実現できたのかもしれないが……。
ちなみにアリスソフトは日本に残っているらしい。
アクアプラスも本社が関西だったが、
東京事務所を作ったタイミングによって、
アメリカに移転するかどうかが決まったのかもしれない。
おぼろげな記憶でしかないが
アクアプラスは1999年以前から東京進出しており、
アリスソフトはその数年後に東京進出していたハズ。
つまり『ラスト・ワルツ』発売前と後での、違いが出たというわけだ。
日本発の美少女は風前のともしびといった状態で、
コノハは自分のいた世界とは違う「世界線」だとうったえるが、
『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』が生まれていないようで、
守には意味が通じなかった様子が描かれる。
守の家から出たコノハは、
昔の秋葉原の姿を求めて街をさまよう。
ゲームショップで『ラスト・ワルツ』を発見したが、
このソフトは社会現象を巻き起こしており、
新たな文化を生み出した原点の作品と
なっていたことを知るのだった。
街中で流れている映像で山田冬夜を目撃。
彼女はシューティングスターズ社という
会社の代表をしているらしく、
会見で他社との経営統合を行ない
世界規模の企業になるという発表をしていた。
アルコールソフトがあったビルへ向かってみると、
解体工事の予定が入っていることが判明する。
ショックを受けて途方に暮れるコノハの元へ、
車を乗りつけて守が迎えに来た。
自分が作ったゲームのせいで、
歴史を変えてしまったとなげくコノハに対して、
守はアルコールソフトをはじめ
『ラスト・ワルツ』のおかげで
救われた人も大勢いたとさとすのだった。
だが、コノハにとって『ラスト・ワルツ』は、
本来生まれるはずだった作品を参考して作ったに過ぎない。
それらの知識を活用して作ったせいで、
大元の作品が存在しなくなるという皮肉な状況になってしまったのだ。
見せたいものがあると言ってある倉庫へと案内する守。
そこにあったのは、おびただしい数の「PC98」シリーズ。
彼が日本に残ったのはコレが理由らしい。
コノハがタイムリープして来てもいいように、
自分だけでも日本に残っていたとか、
そういうロマンティックな妄想をしていたが違ったのか?
個人的には多少はそういう気持ちもあってほしい。
元いた世界へ戻りたいコノハだったが、
アルコールソフトの努力や成功を
無かったことにしたくはないという気持ちもある。
そんな彼女に対して守が出した答えは、
「今から新しいゲームを作る」というものだった。
タイムリープ可能な最後の1本は、
「1999年5月28日」発売の『こみっくパーティー』。
これから作るゲームを持って過去に行き、
『ラスト・ワルツ』の対抗馬としてぶつけるという作戦だ。
今の状況は『ラスト・ワルツ』1本が
突出して目立ってしまったせいで、
原点と言われるまでの作品になった。
つまり、これに匹敵する作品を作り出して
美少女ゲームのブームを起こせば、
秋葉原に美少女ゲームの流れを残せるのでは、と考えたようだ。
1人でゲームを作るのは無理だというコノハに対して、
守は自分と「PC98」シリーズが一緒に作ると、
心強い言葉をくれるのだった。
歴史が大きく変わった原因が
『ラスト・ワルツ』であるのは予想通りだったが、
この作品への向かい方が予想外で面白かった。
自分がかつて作ったゲームを超える作品を
作らなければいけないというのも、
なかなか燃えるシチュエーションでいいと思う。
ただ「1999年5月28日」に戻ることが出来たとしても、
たしかこの時点でコノハのコレクションの一部は、
すでに消失していたと思うので、
それらがどうなるのか少し気になるところだ。
あと、山田冬夜に関しては、
髪の色や美少女ゲーム好きという特徴から、
序盤は秋里コノハの母親説を予想していたが、
どうやらそういった方向には進まないらしい。
最初は主人公の背景を描くタイムリープモノだと思っていたが、
ここまで視聴を続けての感想としては、
割とゲーム作りというかモノ作りに主眼を置いた作品という印象が強い。
歴史改変の解釈について、
新しいアプローチを見せてくれた気がするので、
あと2~3話でキレイにまとめてくれれば言うことナシだ。
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