
©全修。/MAPPA
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
第11話「絶望。」感想
目の前で愛する人と親友を失ってしまった鬱勇者「ルーク・ブレイブハート」。おそらく彼のステータスは「運のよさ」がゼロに違いない!
一部住民の間で元凶だと考えられていた「広瀬 ナツ子(ひろせ なつこ)」を排除したのだが、それで「ヴォイド」の攻撃が治まるわけもなく、住民たちは次々と駆逐されていく。
誰彼構わずという具合で「ヴォイド教」の信者たちも容赦なく屠られていた。グロシーンというほどではないが、大勢の人間が亡くなっているのがわかる程度の描写はされており、グチャグチャヴォイドの不気味な外見も相まって、なかなかに凄惨な光景だった。
そんな呆然自失状態のルークの前に「メメルン」が登場!
ルークから「ナツ子」と「ユニオ」の最後を聞かされるも、戦意を失うことなく住民の避難という役目を買って出る。本来の歴史とくらべると、彼女はだいぶたくましくなった。
残された2人のエルフも魔法陣の中心で、「QJ(キュージェー)」らしき物体を組み立てていた。おそらく禁断魔法については復活魔法で確定だろう。
やはりメメルンたちは希望を捨てていなかった。コレも推し活のおかげということか? 人間信じるものが明確になっていると、生き方にブレがなくなる!
一方、ルークはナツ子とユニオについて妄想をしながら街中を徘徊していたが、握りしめていたナツ子の「タップ」が粒子となって消失したことで我に返る。このタップは消えてしまった彼女が唯一残したもの。それすら無くなったことで、ナツ子の死を実感してしまったのだ。
ルークの表情と慟哭が真に迫っており、ガチで胸が痛くなる場面! 頼むからコイツを救ってやってくれ!
場面は変わり、ヴォイドに飲み込まれたナツ子が描かれる。
自分自身の精神世界に迷い込んでいるような状態で、これまでに会った人間達から自分の才能や絵を否定されるような言葉を浴びせられてしまう。
そしてナツ子の口から、自分が死んだときの心情が初めて語られる。なんと彼女は自分が死んだ時に「やっと逃げられる」とホッとしていたらしい。表に出していないだけでプレッシャーに追い詰められていたのかもしれない。人の目など気にしないタフな女性だと思っていただけに意外な部分である。
精神世界で登場する人物は最初のナツ子のように長く伸びた髪で顔を隠しており、表情を全く読み取ることができない。これをそのまま当てはめて考えると、ナツ子が髪を伸ばしていたは願掛けではなく、自己防衛から来る行為だったという可能性が高い。
殻に閉じこもるナツ子の元へユニオがやって来て、彼の「おまえの絵が大好きだ!」という言葉で自分の原点に立ち返る。ナツ子は『滅びゆく物語』に出会ってからというもの、どんな時でもルークを心の支えにして生きて来た過去を思い出すのだった。
というわけで、担当編集のようにやたらと「描け、描け!」言ってきていたタップの正体が判明。ルークに出会った頃の幼少期の自分である。
自分にとっての大切なものを認識したナツ子はユニオと合流して、ルークたちの元へと帰る決意をするが、闇堕ち勇者は「ソウルフィーチャー」を破壊してしまうのだった。
最終回であろう次回のサブタイトルは、メインタイトルと同じく「全修。」。名前の通りすべてを修正することができるのか? そして、ナツ子が元いた現実世界に戻れるのかも非常に気になるところ。
今回、ストーリー的には結構ハードなシーンが続いたが、ところどころでコミカルな演出やギャグっぽい描写もしていたという印象。そこから察するにシリアスに全振りする物語ではないハズなので、ラストもハッピーエンドで終わらせてくれるに違いない。
個人的によかったところは、ナツ子とユニオの関係性。お互い悪態をつくことがあるのだが、2人ともルーク相手には見せない表情で接しており、素の状態というか「友達感」みたいな部分が出ていた。
なにはともあれルークに幸あれ!
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