
©若木 民喜・小学館/ アニメ「結婚するって、本当ですか」製作委員会
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
原作とは少々異なる展開に!?
会社紹介の一環として、
2人の生活の密着レポートをすることになった。
「大原 拓也(おおはら たくや)」と、
「本成寺 莉香(ほんじょうじ りか)」。
コレはJTCが夫婦共働きに理解のある
企業として新卒者に向けてアピールするためのもので、
2人の仕事風景だけでなく私生活までお披露目するという企画。
本当にあったら「コンプラ的にNGでは?」と、
思わなくもない内容だ。
上司の「黒川 麻子(くろかわ あさこ)」からは、
すでに同棲中だと思われているため、
拓也の部屋で共同生活をすることにした2人。
しかし、お互いの目が気になって、
トイレに行くことすらままならないという有様だ。
「キス」までしておいてそんなワケあるか!?
と思わなくもないが気にするポイントは人それぞれ。
2人とも一人暮らしの気楽さと同時に、
大人の恋愛の面倒くささも実感する。
苦労しながらも黒川にレポートを提出するが、
実はこの企画自体が2人の結婚話の真偽を確かめるための、
本社からの指令だった。
拓也が莉香の関係は信用されたので、
海外赴任の候補から外れることになったが、
代わりに同僚の「権田 広見(ごんだ ひろみ)」が、
最有力候補になってしまう。
自分の嘘で同僚の人生を
左右してしまうことを良しとしなかった拓也は、
今までのことを黒川に打ち明けて、
自分が海外に行くことを申し出る。
ところが莉香のほうも、全く同じことをしていたと判明。
結局アラスカへの赴任は、黒川自身が引き受けることになった。
フロンティア精神にあふれるタイプとはいえ、
夫と子供を置いて単身赴任へ向かうのは勇気がいる。
部下を悩ませてしまった
責任を感じていたのかもしれないが、
なかなかに立派な人物だ。
海外赴任話が解決したので、
嘘の結婚を続ける必要がなくなったが、
一緒にいたいという気持ちを自覚した拓也と莉香は、
お互いに結婚を申し込むのだった。
これから2人が本当の結婚に向けて歩み始める、
というところでアニメ版は終了。
これは原作で言えば「6巻の序盤」まで。
原作は「全11巻」で完結なので、
おおよそ「半分」ぐらい消化した計算になる。
もう1クールあれば最後までやれそうだが、
一応、物語としてはキレイにまとまっていたので、
雰囲気的に「第2期」はないと思う。
なお、ここから先は原作を読んだ上での情報なので、
多少のネタバレを含む点はご了承いただきたい。
例の「不審電話」を掛けて来ていた人物は、
イケメン同僚の「伊槻 佳祐(いつき けいすけ)」。
アニメ化の際に省かれたシーンでは、
明確に彼が疑わしい人物として描かれていた。
動機については原作の最終巻で明かされるが、
アニメ版ではボカしていたためハッキリしていない。
とはいえ大層な動機ではないので、描かなかったのは正解かもしれない。
アニメだけで判断すると、
莉香の母から依頼を受けていたようにも見えなくもないが、
原作では完全に別件扱いである。
実は陽気な女性社員「小宮 夏海(こみや なつみ)」が、
莉香母とつながりを持っており、
スパイのように立ち回っていたのだが、
このあたりもアニメでは描かれていない。
なお、会社からの密着レポートの打診についても、
今時の若者だったら嘘をついて海外赴任を回避しかねない、
という上層部の疑念によるもの。
犯人というほど大げさなものではないが、
主役2人の関係を調査・観察していたのは、
・「伊槻 佳祐(いつき けいすけ)」※個人的な動機
・「小宮 夏海(こみや なつみ)」※莉香母の依頼
・「JTC」※従業員の事実確認
という三者が入り乱れていたという話である。
最後にアニメ版の感想について。
主役の拓也と莉香がどちらも積極性に欠けるため、
大人の恋愛を扱っている割にイチャイチャ要素は控えめ。
おまけに2人とも考え込むタイプなので、
自問自答のシーンが多いのも特徴だ。
また、自分たちの関係性を重視するがゆえに、
つき合ってもいない状態でこんなコトをしたり言ってもいいものか?
といちいち疑問に思ってしまったりもする。
ただ、不器用で恋愛下手な2人が、
少しずつでも歩み寄ろうとする様子は好感が持てたし、
感情移入しつつ見守っていたところがある。
かなりじれったく感じてしまうことが多かったが、
その分、終盤のプロポーズシーンはなかなかグッと来た。
結局、拓也と莉香は恋人としての関係を築く前に、
婚約者になったことになる。
おそらく彼らは恋人同士という関係が、
イメージできていないのだろう。
実際、第11話の拓也のセリフに、
「いっそ結婚してしまったら、こんなに悩まなくて済むのかな?」
というものがある。
同じ空間にいると意識しすぎるけど、
一緒にいたいので結婚してしまおうという理屈だ。
無茶苦茶に聞こえるかもしれないが、
個人的には意外と共感できた部分。
勝手な解釈だが恋人という不安定な間柄よりも、
相手を「結婚する人」と認識して関係性を固めたほうが、
愛情をうまく伝えられると考えたのだと思う。
ようするに好きだから求婚するのではなく、
好きと言うために求婚するみたいなノリ。
だから主役の2人にとっては、結婚がスタートなのだろう。
ただ、コレがうまくいったのは、
奇跡的に莉香のほうも同じ価値観だったからで、
フツーは成り立たないと思う。
いまだに年齢=独身の私としては、
嘘でも結婚してくれる人がいるのはうらやましい限りだ。
▼原作『結婚するって、本当ですか』ADV.1 「結婚するって、本当ですか?」https://bigcomics.jp/episodes/45fe752babb67/
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