
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
作品概要
著者:殆ど死んでいる
レーベル:MFC
シリーズ名:異世界おじさん
発売日:2018年11月21日
出版社:KADOKAWA
ストーリー
2017年、秋。
たかふみはある人物の見舞いに訪れていた。
17歳の時にトラックにはねられて、
17年間昏睡状態だった叔父が目覚めたのだ。
ところが彼はワケのわからない言語を話したかと思えば、
異世界「グランバハマル」から帰ってきたと言う始末。
叔父の頭がおかしくなってしまったと思っていたが、
異世界にいた証拠として魔法を見せてもらった結果、
考えを改めることにした。
今後の生活のことを考えて、
おじさんの力を金に変えて生きていくことを決意する。
その手段とは魔法を使ったユニークな動画を作成し、
YouTubeで公開するというものだった。
おじさんとたかふみの共同生活が今始まる!
作品の見どころ
物語はおじさんとたかふみの日常を描きつつ、
剣と魔法が存在する異世界で、
おじさんがどのように過ごしてきたかを
回想するという構成で進んでいきます。
本作のユニークなところは
異世界ファンタジーを描いていながらも、
王道を外した展開を見せてくれるという点。
なんと異世界に転移した先からおじさんは苦労の連続で、
美男美女の多い異世界において彼は醜く映ってしまうらしく、
オークという魔物の亜種として狩られかけるところから物語が始まります。
そういったことは日常茶飯事で相当ハードな目に遭いつつも、
異世界の美少女たちとの交流などもあり、
全体的にコミカルなノリで楽しむことができるという内容です。
また、おじさんが熱狂的なSEGAユーザーであるという部分も、
本作独自の特徴と言えるでしょう。
何かにつけて「メガドライブ」や「セガサターン」のゲームについての
ウンチクや経験について語るというシーンが挿入されます。
知識がない人にとっては、ちょっと何言っているかわからない、
となってしまうかもしれませんが、
異世界帰りのおじさんが言うことなので、
わからないままスルーしても大丈夫です。
SEGA関連の話題については元ネタを知らなくても、
本編を問題なく楽しむことができますが、
SEGAファンであればより楽しむことができるぐらいのニュアンスです。
なお、異世界のエピソードは回想で描かれると言いましたが、
本作のおいては「異世界での冒険はすでに終えている」という点がポイント。
おじさんは一般的な感覚からかなりズレた感性の持ち主で、
ツライ目に遭うと記憶消去の魔法「イキュラス キュオラ」を唱えて、
自らの記憶を消してしまうという習慣があります。
そのため、おじさんの認識とストーリーの展開に
くい違いが生じていることも多々あり、
主人公でありながら物語の語り手としては、
イマイチ信用しきれない面もあったりします。
逆に言えば主人公が部分的に記憶喪失の状態にあるため、
すでに終えた冒険の物語であっても、
新鮮な気持ちで読めるというメリットにもなっているわけです。
異世界パートだけでなく日常生活のシーンにも注目で、
おじさんにとっては17年ぶりの日本ということもあり、
いわゆる浦島太郎的な状態で生活を送ることになります。
現代の科学や文化とのギャップにより戸惑うということも多く、
序盤はそこが一種の笑いどころになっています。
感想
主人公の年齢が作品開始時点で「34歳」というのも珍しく、
同じおじさんとして共感しやすいところでした。
また、非常に個人的な話になってしまいますが、
ボク自身が重度のセガサターンユーザーだったので、
おじさんには親しみを覚えてしまう部分が多々ありました。
といっても、おじさんとはゲームの趣味が異なり、
ボクはほとんどアクションゲームはプレイせず、
RPGやアドベンチャーがメインでしたが……。
ちなみに当時好きだったのは、
『グランディア』『エネミー・ゼロ』『街』『EVE burst error』あたりです。
他にも色々ありますが動画の趣旨から外れてしまうので、
このぐらいにしておきます。
さて、本編についての感想ですが、
バトルあり、笑いあり、魅力的なヒロインとのイチャイチャありと、
個人的には楽しみどころが多い作品。
ヒロイン達にはおじさんの見た目が、良くない、怖いと認識された上で、
人間性など中身に対して好意を持たれているという点が、
結構気に入っている部分です。
ただ、彼女たちとの関係に関しては、
肝心のおじさん側に恋愛感情のようなものを
抱いている描写が存在していないので、
女性から一方的に好意を向けられるという関係に止まっています。
これまでの話からすると、
異世界に魅力的なキャラクターが多い印象ですが、
現代日本でのキャラクターも負けてはいません。
たかふみに密かな恋心を抱く幼なじみの女性も、
非常にかわいく、こちらの関係についても注目。
共通して言えるのは、
どの登場人物も見た目通りのわかりやすい性格ではなく、
一癖も二癖もあるということ。
エピソードが進むにつれて、
意外性や新たな魅力を見せてくれる人物ばかりなので、
最初はそうでもなかったのに、
いつの間にか気になるキャラクターになっているという感じでした。
おすすめポイント
一部に緊張感のあるシリアスな話はありますが
笑えるオチを用意していることも多く、
全体的にギャグテイストな物語と言えますので、
ライトなノリで楽しめる異世界ファンタジーモノです。
王道を外した斬新な展開が魅力ではありますが、
ヒロインとの掛け合いやイチャイチャシーンに関しては、
こちらの期待以上に見せてくれます。
特に女の子が恥じらったり、
照れたりする表情が印象に残っているので、
かわいいヒロインが目当てという方にもオススメ。
あとはやはりSEGAユーザーの方には、
一見の価値アリの作品だと思います。
ネタを面白がれるという部分以外にも、
作中でSEGAハードを選んだ人間の人生について
語られるシーンがありましたが、強くうなずいてしまいました。
当時は『スマブラ』や『FF』を選択しない人間は、
かなりの変わり者という風潮でしたから。
※個人の見解です
本作に関してはすでにアニメ化もされていますので、
どこかの動画配信サービスと契約済みであれば、
そちらを試しに視聴するのもアリかもしれません。
おじさん役を子安武人、たかふみ役を福山潤という、
2人の実力派ベテラン声優が担当しており、
ヒロイン達もキャラクターにあったキャストを揃えています。
正直、作画のクオリティは高いとは言えませんが、
キャスト陣の演技力によってキャラクターの魅力が増しており、
掛け合いを見ているだけもかなり楽しめると思います。
アニメのほうは全13話で完結済みですが、
マンガの単行本で言えば「7巻の途中」までしか描けていません。
この先も気になる展開が待っていますので、
アニメを視聴して気になった方は、
ぜひ単行本のほうもチェックしてほしいです。
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