
©全修。/MAPPA
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
第12話「全修。」感想
最後の「ソウルフィーチャー」が破壊されたことで街は混乱に包まれる。そんな中、疾走する「メメルン」が5回発光する「ヴォイド」を発見。コレは第6話に登場した「ナインソルジャー」同士の合図で、「ユニオ」が発したものである。
「メメルン」は「広瀬 ナツ子(ひろせ なつこ)」と「ユニオ」の救出に成功するが、再会を喜ぶ間もなく、「超空洞ヴォイド」と化した「ルーク・ブレイブハート」からの攻撃が開始。街は甚大な被害を受けてしまうのだった。
「ナツ子」、「ユニオ」、「メメルン」の3人は「超空洞ヴォイド」を倒して、「ルーク」を救出するための作戦を立てる。
最大の敵を前にして、何を描くべきか考えた「ナツ子」が出した答えは「ルーク」。「ルーク」は「ナツ子」の人生の中で最も多く描いたであろうキャラクターだ。速く完璧に描けて、かつ最強の存在として彼を選んだのは納得である。
何度敗れても「ルーク」を描き続ける「ナツ子」だったが、「超空洞ヴォイド」の苛烈な攻撃が止むことはなく徐々に追い詰められ、「ジャスティス」や「デステニー・ハートウォーミング」、「メメルン」や「ユニオ」まで消滅させられてしまう。
「ナツ子」1人になったところに復活した「QJ(キュージェー)」が登場! 彼の照らすライトの元で最後の力をふり絞り最強の「ルーク」を描き、「超空洞ヴォイド」を見事撃破するのだった。
この時の「ルーク」は上裸バージョン。つまり「ナツ子」が自分の恋心を自覚した時の姿である。愛の力は偉大ということか……。
元の姿に戻った「ルーク」と「ナツ子」が再会したことで奇跡が起こり、新たな「ソウルフィーチャー」が生まれた。それだけでなく、今までに命を落とした者たちも復活。『滅びゆく物語』の世界に平和が訪れたのである。
その様子を見た「鳥監督」は「ハッピーエンドだけがエンタメだと思うなよ」と捨て台詞を吐いて飛んでいく。
現実の世界に戻る必要があるためか、身体が消えていく「ナツ子」。最後に「ルーク」へ素直な好意を口にするが、それに対して彼は「必ず会いに行くから!」と返すのであった。
次に描かれた場面は現実の世界。ただ、かなり時間が経過しており『初恋 ファーストラブ』は完成しており、ヒットを飛ばしている様子。また「ナツ子」にも変化が見られ、スタッフへの態度もかなり穏やかなものになっていた。
現実の世界に帰還した状況が描かれなかったので、「ハマグリ弁当」にあたった際に「ナツ子」が死んでしまったかどうかはわからないが、かんざし代わりにしていた「ユニオの角」はそのまま保持していたので、異世界での出来事が事実だとわかる。
夕方、帰路につく「ナツ子」は道路の向かいにいる「ルーク」、「ユニオ」、「メメルン」、「QJ」の姿を視界の端で捉えて物語は幕を閉じるのであった。
さて、1クール(全12話)視聴した上での感想について。
終盤は畳みかけるような怒涛の展開で多少強引さも感じるたが、オリジナルの物語としてキレイにまとめてくれたので個人的には大満足の作品! 「鳥監督」に安易と言われようと、やはりハッピーエンドは素晴らしい!
全編通して作画のクオリティは安定していたし、登場人物も個性的でそれぞれに見せ場があったところも◎。特に「ルーク」の想いが通じたところは、不覚にも泣きそうになってしまった。
創作上のキャラクターが現実の世界にやって来るという展開については、賛否が分かれそうだが、とりあえず許容できる派。
まず、前提として創作物なので自由にやってもいんじゃね? とは思っている。もちろん多用されるとウンザリするし、あり得ないとはわかっているが、そもそも論として「ナツ子」自身が創作の世界に紛れ込んでいる設定なので、逆も成立するだろうという発想だ。
例えば「メメルン」が「超実在イグジスト」のグッズに目をキラキラさせている姿を想像するだけでも楽しい気持ちになれるので、本作においてはアリだという感じ。
気になった点としては「鶴山亀太郎(つるやま かめたろう)」というか「鳥監督」について。本音を言えば、もう少し事情を明かしてほしかった。
彼は「ナツ子」とは異なり亡くなったことが明確に描写していたため、死後に転生したのは間違いない。巨匠と呼ばれるほど多くの作品を生み出したにもかかわらず、興行的に爆死した『滅びゆく物語』にいたのはどういう意味があったのだろうか?
監督にとっても一番思い入れのある作品だったのかもしれない。
「ナツ子」は『滅びゆく物語』を全修したわけだが、現実世界で同作の内容が変わったという様子はなかった。あの世界での出来事は、あくまでも彼女だけの体験として完結しているのだろう。
そして興味深いのは「ナツ子」が全修したようなハッピーエンドの内容では、おそらく彼女はアニメ監督を志していなかったというコトだ。
幼少期の「ナツ子」がシビれたのは、あくまでも鶴山監督の『滅びゆく物語』で傷だらけになり絶望する「ルーク」の姿だったハズ。それにもかかわらず本人に出会ってしまったことで、彼の幸せを願うように変化していった。
これは「ナツ子」の中で「ルーク」が、キャラクターから人間へと変化したのでは? と考えている。
元々「ナツ子」という人物は人間にあまり興味がなく、相手がどういう気持ちを抱いているかを考えようとしないタイプ。それは彼女に「トゥンク」を感じた人物たちの回想を見ても明らかだ。
『初恋 ファーストラブ』に手こずっていたのは初恋を知らなかったというのもあるだろうが、人間の気持ちに関心がなかったというのが大きいのだろう。
つまり本作は、人間に興味のなかった天才が自分の好きなキャラクターから、人間について教わるという物語なのだと思う。
かなり楽しめた作品なのは間違いないが、万人にオススメかと聞かれたら実は微妙。
回を経ていくごとに右肩上がりで面白くなっていったが、序盤は次も絶対見たいと思わせるほどの引きの強さは感じなかったのが正直なところ。物語が盛り上がる前に視聴を止めてしまった層の気持ちもわからなくはないのだ。
私自身、全12話まで見た上での評価は高いが、序盤まではそれほど評価は高くなかった印象がある。
とはいえ、オリジナルかつ1クールでキレイに完結するだけでも今時かなり珍しいし、清々しい終わり方ですっきりするので、ぜひ視聴していただければと思う!





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