
▼YouTube版
※内容は全く同じなので、読むのが面倒な方はこちら聞いてください。
●作品概要
マンガ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』
著者:川村拓(かわむら・たく)
既刊14巻(連載中)
●ストーリー
小学5年生の高田太陽(たかだ・たいよう)は、
転校先で西村茜(にしむら・あかね)という少女と出会う。
彼女は見た目の特徴により、
クラスメイトから「死神」と
あだ名をつけられイジメを受けていた
ところがそれを「かっこいいあだ名」と認識した
太陽は茜と仲良くなろうとする。
自分と一緒にいることで
イジメに巻き込まれてしまわないよう
距離を取ろうとする茜だったが、
明るくかつ真っ直ぐな性格の太陽は、
そんなことを気にもせず
彼女との距離をつめていくのだった――。
●作品の見どころ
全体的な雰囲気としては明るいノリで、
笑いが多めのラブコメです。
西村さん側の気持ちを表したタイトルだけあって
主に彼女の視点で物語が展開します。
西村さんの心情をていねいに描いているので、
グイグイくる高田くんの言動によって
戸惑いつつもドキドキしてしまうという
彼女のリアクションに注目してほしいです。
引っ込み事案であまり感情を
表に出さないタイプの西村さんが、
ポジティブな高田くんの影響により、
次第に自分も変わらなくてはいけないと
考えるようになっていきます。
物語を読み進めていくごとに
ハッキリと自己主張をするようになったりと、
徐々にではありますが
確実に成長していく西村さんの姿を
目にすることができるはず。
気になる恋愛描写については、
相手役となる高田くんが
ソッチ方面に疎い天然の子供といった感じなので
なかなか進展はしませんが、
高田くんが思ったことを
ストレートに言ってしまうタイプのため、
照れもせずに西村さんに対して
「カワイイ」と言いまくります。
そんなセリフに西村さんが悶えてしまう
というのがお決まりのパターンだったりしますが、
高田くんのほうも彼女を
全く意識していないというワケではありません。
西村さんに対して
ドキドキしてしまうシーンが時折描かれますが、
それがどんな感情であるのか?
自分では理解できていない様子です。
そんな小学生同士のピュアな恋愛模様を
微笑ましく見守っていくという感じになります。
●感想
高田くんのナイスガイさに感心しました。
西村さんがイジメを受けているという設定なので、
物語冒頭はクラスメイトに悪口を言われたり
からかわれたりする描写がありますが、
基本的に高田くんがポジティブな言動で
その場を明るく和やかにしてくれます。
彼のキャラクターのおかげで、
西村さんの置かれている境遇のわりに
作品の雰囲気が暗くなりすぎず、
笑えるラブコメとして成立しています。
重要なのが高田くんの中に、
「イジメられている女の子を助けてあげよう」
というような同情の気持ちがあって
そうしているワケではないということです。
死神と呼ばれている西村さんが
クールでカッコイイからもっと仲良くなりたい!
という純粋な気持ちが原動力になっており、
あくまで「自分がしたいからする」というスタンスです。
高田くんの言動に打算がないため、
誇張された天然の性格でありながら
好感が持てるキャラクターになっている気がします。
話を経ていくごとに西村さんが
かわいく感じるようになりますが、
その魅力を引き出しているのは
高田くんなんだなぁとしみじみ感じてしまいます。
もちろん主役のふたりのことも気に入っていますが、
個人的に本作において一番推したい点がありまして、
それは物語上の大切な場面では登場人物だけでなく
その場所というか景色も美しく描かれいていること。
言葉だけで説明するのは難しいですが、
例えば手をつないで歩いた「夜の田舎道」、
ふたりで話をした「夕暮れの神社の境内」、
遠足で見た「プラネタリウム」など。
人物だけでなく今いる場所も
ていねいに描き込んでいるのが印象的でした。
素敵な思い出の一部分を切り取ったような、
一枚の絵として見ても
美しい一コマがあったりもしますので
キャラクター同士のやり取りだけでなく、
背景を含めた空気感なども感じていただければと思います。
●おすすめポイント
ギャグが多めの小学生のラブコメを描いた作品ですが、
涙を誘うようなエピソードがあったりもしますので
西村茜という一人の少女の成長物語として見ても
なかなか楽しめると思います。
高田くんのポジティブな思考や言動には
ボクのようなおじさんでも学ぶことが多かったので、
大人にもオススメしたいところです。
特に女性に対して上手いことを言えなくて
悩んでいる男性諸君には、
高田くんのストレートさをマネしてみるのも
一考に値すると思います。
もちろん時と場合を考えなくてはいけませんが、
変に難しい言葉を使ってホメようとすると
女性にはかえって伝わりにくかったりするものです。
「かわいい」「似合う」「好き」を
適切なタイミングで言うだけでも、
人生が変わるかもしれません。
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