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©KIYOHIKO AZUMA/YOTUBA SUTAZIO
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
リアリティのある日常系マンガが4年ぶりに登場!
天真爛漫な少女「よつば」を主人公にした日常系作品。
1つ前の15巻が発売されたのが「2021年2月27日」ということで4年前である。正直、内容はうっすらとしか覚えていない。読み返そうにも本シリーズは紙の単行本のみ。誰かに貸したような気がするが、家族か友人だったかそれすら定かではない。
まあ、日常系なのでそれほど影響ないだろうと読み始めたら、いきなり天然クール系の美女が登場! 誰だっけ? と考えていたら名前を見て、かろうじて思い出す。
彼女は「小岩井 小春子(こいわい こはるこ)」。「とーちゃん」こと「葉介(ようすけ)」の妹で、よつばからすれば叔母にあたる。ただ、メガネっ娘だったような記憶もあるが気のせいか? 仕事中はコンタクトレンズ派なのだろうか。あと家族は「ばーちゃん」も顔見せするが、2人とは直接会うわけではなく電話口のやり取りのみ。
自転車の「ひげもじゃ」から、よつばを連れて遠出することを提案される。彼女が小学校に上がってしまうと、意外と自由にできる時間が減ってしまうからとのこと。客商売なのでそういった話を聞く可能性もあるが、彼自身も子持ちなのかもしれない。
公園でよつばを遊ばせつつ、外出先の候補について話し合うとーちゃんと「ジャンボ」。ジャンボから登山を勧められたが、彼は忙しい時期のようで一緒には行けないらしい。
花屋に縁がないので繁忙期についてはよくわからないが、今回のエピソードはクリスマス目前の季節が舞台。確かに年末であれば忙しそうなイメージだ。
ちなみにこういった場合に、とーちゃんが相談を持ち掛けるのは大体ジャンボ。彼への信頼感がうかがえる。
ジャンボが多趣味なせいかもしれないが、よつばの特性を踏まえた提案をしてくるあたり、冷静で判断力があるタイプなのは間違いない。ハッキリとした記憶はないが、以前も的確な助言をしてくれたような気がする。
大人1人ではよつばから目を離してしまう可能性があるということで、今回の登山計画を延期しようとするが、たまたま居合わせた「やんだ」が参加することになった。目的地は「高尾山」。
先輩たちからは面倒くさがりな印象を持たれているやんだだが、よつば絡みのイベントにはつき合ってくれるし、山道では先頭を歩いてくれていたので、なんだかんだ言いながらよつばを大事に扱っているようにも見えた。よつばのばーちゃんとも馬が合うのも納得だ。
そのばーちゃんの家だが富士山を見ると思い出すと言っていたぐらいなので、おそらくは「静岡県」なのだろう。
なお、山歩きで息を切らせまくっていたとーちゃんにくらべて、やんだにはそんな様子は一切なかった。若さというアドバンテージのせいかもしれないが、職業的な部分が大きいのだろう。
完全デスクワークのとーちゃんとは違い、営業職で外回りをしているためやんだのほうが体力があるというわけだ。
後半は久しぶりに「綾瀬家」の3姉妹が登場。相変わらずイジられまくる「風香」が見どころ! いくらなんでもカエルよりはカワイイと思うが……。
そして「あさぎ」の趣味が多肉植物を育てることだと判明。確か彼女はジャンボにホレられているという設定があったハズ。植物に関わる仕事をしていることで、多少は話が弾むのではないだろうか?
最後は「恵那(えな)」と「みうら」と一緒に、小学校へ鉄棒をしに行くという話。
そこで「大阪先生」というあだ名の大阪弁を話す教師と出会う。彼女の本名は「春日 歩(かすが あゆむ)」といって、同作者の過去作『あずまんが大王』の主役の1人である。
『あずまんが大王』もかなり好きな作品だったので、主要キャラの再登場は純粋に気分が上がる! ほかのメンバーの成長した姿も見たいところだが、なんとなく大阪さん以外は出てこないような気がする。
さて、最後に全体の感想について。
相変わらず「背景」や「小物」などの描き込みが、繊細かつていねいで素晴らしい! 今回は高尾山のシーンがあったせいか、植物が多めな印象だ。キャラクターの周辺に現実感を持たせたことで、日常系でありながらどこかリアリティの感じられる作品になっていると思う。
人物の表情はデフォルメを利かせているが、等身や骨格のバランスはリアル寄りなので、このぐらいのバランスでちょうどイイ。逆に表情の情報量を多くすると、読みにくくなりそうな気がする。
なんにせよ4年ぶりにもかかわらず、スッと最後まで読ませてくれるのはさすがである。他の作品であればこうは行かないので、作者の方はそのあたりも考慮して描いているのだろう。
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