【アニメ】『ゆびさきと恋々』第2話~第4話 レビュー

アニメ

©森下suu・講談社/ゆびさきと恋々製作委員会
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『Sign.2 恋々へ』~『Sign.4 どんな声で』感想


聴覚障がい者の糸瀬 雪(いとせ ゆき)が、
マイペース放浪男の波岐 逸臣(なぎ いつおみ)に対する、
恋心を自覚するというところまで物語は進んだ。

少女マンガらしく恋愛模様の描写がメインになるようで、
主人公以外の登場人物も基本は誰かしらに恋をしている。

雪には彼女の幼なじみである芦沖 桜志(あしおき おうし)が、
逸臣には彼の高校の同級生である中園エマ(なかぞの えま)​が、
それぞれ片思いをしているという状態。

わかりやすく逸臣にアプローチするエマとは異なり、
桜志のほうは雪に素直になれずに悪態をついてしまうという感じ。

ただ、彼らもそれぞれ別の人間から
好意を持たれているような描写がされているため、
複雑な人間関係も見どころとなるのだと思う。


第2話では雪の過去にも少し触れられた。
彼女は幼稚園から高校まで同じ敷地内にあるという、
「ろう学校」に通っていたらしい。
(※ろう学校とは、聴力に障害をもつ児童・生徒のための学校。)

『聲の形』のようなエグイ過去を持っているのでは?
と勝手に心配していたが、どうやらそういうわけではなく
大学で初めて健常者と共に過ごすことになったようだ。

ろう学校では、生徒たちがチャイムの音を聞くことができないため、
ランプの色で知らせていたところは興味深いシーン。

印象的だったのが高校時代の雪の髪色が今とは違うこと。
普通にオシャレに目覚めたという可能性もあるが、
見たままの通り赤(ピンク?)に染めたのだとしたら、
彼女の思い切りの良さを感じる部分。
雪なりに新しい自分を表現したかったのかもしれない。

また、限られた世界でしか生きてこなかったせいか、
彼女は新しい世界や外の世界に強い憧れを持ちやすいのだろう。


ちなみに私としては、幼なじみの桜志がかなり気に入っている。
雪のことを心の底から心配しているにもかかわらず、
不器用な伝え方しかできない点は微笑ましくもあり、
気の毒であったりという感じだが、
今のところ登場人物の中で最も感情移入がしやすい。

ただ、残念ながら桜志の想いが報われることはないだろう。
別に雪の矢印が逸臣のほうを向いているからとかそういう理由ではなく、
単に彼のやさしさが雪のポイントからズレているのだ。

桜志の雪に対する想いが好意であるのは間違いないが、
「安全な場所にいてほしい」というセリフからもわかる通り、
いわば「内の世界」へとどめておきたいという気持ちがある。

先述の通り糸瀬 雪という女性は「外の世界」に憧れを持つ人物なので、
外へ外へと気持ちが向いている逸臣とは勝負にならないのである。

その逸臣も雪と桜志の間柄を気にするそぶりを見せているため、
徐々に2人の関係は進んでいくのだろう。


最後に評価とは関係なく疑問点について。
第4話の改札口のシーンで逸臣が桜志に対して、
煽るというか挑発的なことを言う場面。

雪のことを指しつつ「コイツはオレのコトが好きなんだぜ!」的な
ニュアンスでけん制するようなことを言うのだが、
このシチュエーションは少女マンガ特有では? という話。

「オレのほうがオマエよりコイツを愛している」とかではなく、
あくまで「オレのほうがより愛されている」という意味合いなのである。
女性主人公を経由した間接的なマウントといった感じだろうか?

ぶっちゃけた話、桜志は負けが確定しているキャラクターなので、
わざわざトドメを刺さなくても……と感じてしまうところだが、
勝ち確男からのダメ押しみたいなやり取りについては、
本作に限った話ではなく、少女マンガでのみ見かける気がするのだ。

少年マンガのラブコメでは当然見かけないし、
性別逆のパターンも思いつかない。

私が過去の見た同様の場面はすべて少女マンガだった。
この手のシーンは女性読者的にはキュンキュンくるものだろうか?

女性としては想い人以外から好意を寄せられた場合は、
きちんとけん制してほしいということなのか?
恋愛レベルがザコの独身おじさんには永遠の謎だったりする。

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