
©全修。/MAPPA
※人名、組織名などは敬称略でお伝えしております。
第9話「勇者。」感想
今回は「ルーク・ブレイブハート」の回想から始まる。
彼が今までどんな人生を歩んできたかを振り返るわけだが、コレがとてつもなく悲惨!
各地に存在していたソウルフィーチャーは破壊され、ナインソルジャーの仲間たちも徐々に人数を減らしていく。おまけに守るべき対象である民衆からは、心無い言葉を投げかけられたりもするのだ。
終わりの見えない戦いの鬱憤を勇者であるルークについぶつけてしまったという展開だが、本人からしてみれば溜まったものではない。仲間を犠牲にしてまで民を守るために必死で戦って来た彼は戦う意味を見失いかけてしまう。
そんな時、目の前に現れたのが「広瀬 ナツ子(ひろせ なつこ)」。
彼女のハチャメチャな言動に戸惑いつつも、次第に目が離せない存在へと変化していく様子がていねいに描かれる。ナツ子のために戦うことが、人生に絶望しかかっていたルークの生きる目的になったというわけだ。
そう考えるとナツ子に喜んでもらいたくてそばを打つ姿は健気で泣かせるし、必殺技の「トゥンク剣」もこっ恥ずかしくはあるが感慨深いものがある。
なんというかルーク視点のナツ子は、本当に魅力的に描かれている気がする。
初恋を自覚した勇者に怖いものはなく、目覚めたナツ子に改めてデートを申し込む。
一方、彼女のほうは自分の初恋をどう処理していいかわからず、ルークを意識しまくりの赤面状態。今までが今までだけに、このギャップはなかなかグッとくるところ。
「鳥監督」に言われた言葉が気にかかり一人思い悩むナツ子の元へ、「QJ(キュージェー)」がはげましにやって来る。
ここで初めて、ナツ子の口から『滅びゆく物語』の結末について語られるのだった。
ナツ子が転生しなかった世界つまり本来の物語では、「ユニオ」が亡くなったあとに傷ついたルークが「デステニー・ハートウォーミング」と交流を深めることになる。しかし、彼女は孤児院のために理事長と婚約し、さらにルークは「超空洞ヴォイド」に変身した「メメルン」を倒してしまうのだった。
ここまでは今まで公開された通りだが、続きの展開もなかなかヘビー。ナインソルジャー殺しのルークと、勇者を惑わせたデステニーは街中から責められることなる。
2人は逃げ出そうとするが、そこへヴォイドの大群が襲来。デステニーは子供をかばって命を落としてしまう。ソウルフィーチャーが存在するせいで悲劇が起こると考えたルークは、自ら手を下しそれを破壊。「超空洞ヴォイド」と化した彼が世界を滅ぼすというオチである。
なんと、超空洞ヴォイドの正体はルークだったのだ!
倒すべき大ボスが実は勇者だったという衝撃的な展開! つーか鬱展開にもほどがある。劇場用アニメでこんなストーリーを見せられたら、そりゃ批判も出るぞ。
よく周りが許したな。いや、ひょっとしたら「鶴山亀太郎(つるやま かめたろう)」監督の暴走という可能性もあるか? しかし、個人的にはこういうやるせない話は嫌いではないので、実際にあればたぶん観てしまうと思う。
そんな絶望の未来が来てしまうことを恐れていたが、QJはナツ子なら未来を変えられると言ってはげますのだった。
ちなみにナツ子いわく、QJはナインソルジャーで唯一最後まで生き残るキャラクターらしい。世界自体は滅びるそうなので彼の存在に意味があるのかは微妙だが、なんらかの形で結末に関わっている可能性がある。
その後はヴォイドがやって来てそれを迎え撃つのだが、前回に引き続き以前ナツ子が召喚した能力を敵が備えていたため苦戦を強いられる。
ナツ子は誰にも真似できない物を描き出そうとするが上手くいかず、最終的にQJが敵に特攻して自爆するのだった。ナインソルジャーの自爆が多すぎる説!
最後まで生き残るハズのキャラクターが亡くなってしまったことで、自らの責任を感じるナツ子。はたして今後の展開はどうなってしまうのか?
前回も似たようなことを言ったが、全体で見ると後半は加速度的に面白くなっているという感じだ。何より回を経ていくごとに、登場人物に深みが増していくのがイイ!
作画も安定しているし個人的にはハマっているが、設定というか物語の構造はかなり玄人寄りに感じるので、万人にオススメできるかは微妙なところだ。
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