©清水茜/講談社 ©原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社
©2024映画「はたらく細胞」製作委員会
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中盤までコメディだが終盤はシリアス寄り!?
出不精の私は滅多に劇場まで足を運ばないが、
知人からタダ券を頂戴したので見に行ってみた。
原作については1~2巻ほど読んだ記憶はあるが、
かなりの前のことで正直ほとんど覚えていない。
ほぼ、原作未読勢の感想になってしまうと思う。
結論から言えば結構面白かった!
仮に自腹で見に行っていたとしても、
それなりに満足できたと思う。
本作は現実世界の人間ドラマを描きつつ、
それぞれの体内で働く細胞たちを「擬人化」して、
その活躍を描いている。
つまり「現実パート」と「体内パート」の
2本軸で物語が進んでいくわけだ。
「現実パート」では、
「漆崎日胡(うるしざき にこ):芦田愛菜」と、
「漆崎茂(うるしざき しげる):阿部サダヲ」の、
親子関係が中心に描かれる。
日胡は幼い頃に母を無くしているため、
医学部を目指している女子高生。
健康診断の結果が思わしくない
父の食事に気を配っているが、
茂のほうはあまり気にしていない様子だ。
既視感があると思っていたら
『マルモのおきて』でも親子っぽい関係を演じていた2人。
「体内パート」では、
「赤血球:永野芽郁」と「白血球:佐藤健」が主役。
彼らが働いているのは日胡の体内。
宿主が若いせいか細胞たちも活発に動いており、
テーマパークのようなキレイな舞台が特徴だ。
一方、不摂生をしている茂のほうは、
空気も汚く背景もボロボロ。
「コレステロール」というゴミが道をふさいでおり、
「新米赤血球:板垣李光人」や「先輩赤血球:加藤諒」が、
苦労して酸素を運んでいる様子が描かれた。
年齢や生活環境が体内の細胞たちに
どう影響を与えるのかをわかりやすく表現していたと思う。
序盤から中盤に掛けてはどちらのパートでも
コミカルな描写が多く笑える内容だが、
中盤以降は重めというかシリアスな展開が続く。
勝手なイメージで終始コメディテイストで、
まとめるものだと思っていただけに、
イイ意味で期待を裏切ってくれた部分。
人間にとっては治療の一環であっても、
そのためには必要な細胞まで消してしまうリスクがともなう。
その事実を容赦なく描写しており、なかなか衝撃的だった。
驚きもあったし最後まで目が離せない
展開になっていたおかげで、
途中ダレることなく楽しめたという印象だ。
キャストに関しては原作を覚えていないので、
合う合わないは言及できないが、
個人的には違和感を感じなかった。
むしろキャラの再現度は高かった気がする。
「マンガ原作の実写化」で言及される、
安っぽいコスプレっぽさも気にならなかった。
そもそも「体内パート」の面々は、
ある意味ではファンタジー世界のようなもの。
それが良いほうに働いてリアリティがない恰好でも、
すんなり入っていけたのかもしれない。
むしろ「体内パート」では、
驚くほどの人数のエキストラを動員しており、
その規模感に圧倒されてしまったほど。
多少はCGで追加しているのかもしれないが、
大勢の人間たちがわらわらと動き回っていると、
それだけでスケールの大きさを感じてしまう。
アクションのあるキャスト陣は総じて頑張っていたと思うが、
やはり佐藤健が頭抜けていたと思う。さすがは「抜刀斎」!
あと「SEKAI NO OWARI」のFukaseが出演している点も注目。
彼は『キャラクター』に続き、俳優としては2作目の出演。
私は前作を見ていないので比較はできないが、
本作では「異物感」や「異質感」が出ていた役にマッチしていた。
演技がヘタとかセリフの言い回しに違和感があるわけではなく、
たたずまいが良い意味で役者っぽくないという意味である。
おそらくコレがアーティストならではの存在感なのだろう。
「笑って泣けてタメになる」という
キャッチコピーに嘘偽りはなく、
きちんとハッピーエンドで終わるので、
どんな関係性の人と見に行っても楽しめる作品。
とはいえ細胞についての勉強になるし
家族愛にも触れられているので、
小学校高学年ぐらいのお子様がいる方は、
子連れでいくのもアリだと思う。
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